無柱空間とは?建築構造や木造・鉄骨の工法、メリットを解説

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無柱空間とは、建築物の内部に柱が存在しない広大なスペースのことです。 この特殊な構造は、工場や倉庫、店舗、住宅など多様な用途で採用されています。 柱がないことで、空間の利用効率や作業の生産性、デザインの自由度が飛躍的に向上しますします。

従来は鉄骨造が主流でしたが、近年の建築技術の進歩により、環境負荷が少なくコスト面でも有利な木造による大スパンの無柱空間も注目されています。

この記事でわかること

  • 無柱空間がもたらす作業効率やレイアウト自由度などのメリット
  • 鉄骨造や木造で大空間を実現するための代表的な構造と工法
  • 工法ごとの建築コストと実現可能なスパン(広さ)の目安

この記事の監修者

株式会社澤村(SAWAMURA)

山々に囲まれ、琵琶湖を臨む滋賀県高島市。
株式会社澤村は1950年の創業以来、地域とともに歩みながら、信頼・実績・技術を受け継いできました。
現在、フィールドは滋賀・京都・福井まで広がり、130名を超えるスタッフと共に、設計・施工の一貫体制でお客さまのご要望にお応えしています。
本コラムは株式会社澤村が運営する工場建築・倉庫建築に関するお役立ちコラムです。

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そもそも無柱空間とは?柱なしで建物を支える仕組み

無柱空間とは、文字通り、室内に荷重を支えるための柱が1本もない空間を指します。 通常、建物は柱と梁で屋根や床の重さを支えますが、無柱空間ではその役割を異なる構造部材が担います。 具体的には、屋根や床の荷重を「梁」や、三角形を組み合わせた骨組みである「トラス」、あるいは「アーチ」といった構造を用いて受け止め、その力を建物の外周にある壁や柱へと伝達します。

この仕組みにより、内部に柱を設けることなく、安全で広々とした大空間を構築することが可能になります。

無柱空間がもたらす4つの大きなメリット

内部に柱がない無柱空間は、単に広々としているだけでなく、実用面で多くの利点をもたらします。 作業動線の確保による効率化から、スペースの有効活用、将来のレイアウト変更への柔軟性、そしてデザイン性の向上まで、そのメリットは多岐にわたります。 ここでは、無柱空間がもたらす代表的な4つのメリットを具体的に解説します。

作業効率が向上する広々とした作業動線

工場や倉庫において、無柱空間は作業効率を大幅に向上させます。 内部に柱という障害物がないため、フォークリフトやAGV(無人搬送車)、作業員がスムーズかつ安全に移動できます。

これにより、原材料の搬入から製品の出荷までの一連の動線が最適化され、作業時間の短縮と生産性の向上に直結します。 また、柱との接触による事故のリスクを低減できるため、より安全な作業環境を構築できる点も大きな利点です。

スペースを最大限に活用できる高い保管効率

無柱空間は、倉庫や物流施設における保管効率を最大化します。 柱が存在すると、その周辺にはデッドスペースが生まれ、保管ラックや棚の配置に制約が生じます。

しかし、柱がなければ空間全体を隙間なく活用できるため、同じ床面積でもより多くの物品を保管することが可能です。 貨物の形状やサイズに合わせた自由な棚割りができるため、スペースを無駄にすることなく、保管能力を最大限に引き出すことができます。

将来の変更にも対応できる自由なレイアウト設計

事業の成長や市場の変化に伴い、工場の生産ラインや店舗の売り場レイアウトを変更する必要が生じることがあります。 無柱空間は、内部に構造的な制約となる柱がないため、こうした将来の変更に対して非常に柔軟に対応できます。 間仕切り壁の設置や撤去、大型機械の入れ替え、ゾーニングの変更などが容易に行えるため、建物を長期的に有効活用することが可能です。

初期投資だけでなく、将来的な改修コストの抑制にもつながります。

視界を遮らない開放的でデザイン性の高い空間

無柱空間は、視界を遮るものがないため、圧倒的な開放感と見通しの良さを生み出します。 この特性は、人々が集う店舗やオフィス、イベントホール、住宅のリビングなどで大きな価値を発揮します。 広々とした印象を与えるだけでなく、空間全体の一体感を演出し、コミュニケーションを促進する効果も期待できます。

建築家の意図を反映しやすく、意匠性に優れたデザインを実現できるため、魅力的な無柱大空間を創り出すことが可能です。

無柱空間を実現する代表的な建築構造と工法

無柱空間という広大なスペースは、特殊な建築構造と工法によって支えられています。 建物の用途や求められるスパン、コストに応じて、最適な技術が選択されます。

代表的なものには、強度に優れた鉄骨造や、近年技術開発が進む木造、そして堅牢な鉄筋コンクリート造があります。 それぞれの構造が持つ特性を理解することが、理想の空間を実現する第一歩となります。

【鉄骨造】大規模空間に適したラーメン構造やトラス構造

鉄骨造は、強度と粘り強さに優れた鋼材を用いることで、大規模な無柱空間の構築を得意とします。 代表的な構造形式には「ラーメン構造」と「トラス構造」があります。 ラーメン構造は、柱と梁を剛接合することで骨組みを形成し、比較的自由度の高い設計が可能です。

一方、トラス構造は、部材を三角形に組み合わせることで応力を分散させ、より軽量でありながら長大なスパンを実現できます。 体育館やドーム、工場など、特に広大な無柱大空間で採用されることが多い構造です。 倉庫鉄骨造のメリット・デメリットについては「倉庫鉄骨造のメリット・デメリット」で詳しく紹介しています。

【木造】注目が集まる木造トラス工法やSE構法

かつて大規模建築は鉄骨造の独壇場でしたが、近年の技術革新により木造でも大スパンの無柱空間が可能になり、注目を集めています。 特に木造トラス工法は、木材でトラス構造を組むことで、軽量かつ高強度な屋根を架けることができ、コストや工期の面で有利になる場合があります。 また、住宅においては、強度の高い集成材と特殊な金物を用いるSE構法のような木質ラーメン構造が登場し、柱の少ない開放的なリビングなどを安全に実現しています。

鉄筋コンクリート(RC)造での無柱空間の考え方

鉄筋コンクリート(RC)造は、柱と梁で建物を支える構造が基本となるため、木造や鉄骨造のような長大なスパンの無柱空間を作るのは得意ではありません。 しかし、設計の工夫によって柱の数を減らし、より広い空間を確保することは可能です。

例えば、梁にあらかじめ圧縮力を加えてたわみを防ぐ「プレストレスト・コンクリート(PC)工法」などを用いることで、通常のRC造よりも長いスパンを実現できます。 この技術は、マンションの駐車場や公共施設のホールなどで活用されています。

【工法別】無柱空間のコストとスパン(柱間の距離)の目安

無柱空間を計画する上で、建築コストと、どれくらいの広さが実現できるかは非常に重要な要素です。 採用する構造や工法によって、これらの条件は大きく異なります。 鉄骨造と木造ではどちらがコストを抑えられるのか、また、それぞれの構造で最大どの程度のスパンを確保できるのか、具体的な目安を比較検討することで、プロジェクトの方向性がより明確になります。

鉄骨造と木造の建築コストを比較

建築コストを比較すると、建物の規模や仕様によって変動しますが、一般的に小〜中規模の倉庫や工場では、木造の方が鉄骨造に比べて坪単価を抑えられる傾向にあります。 特に木造トラス工法は、部材が軽量で基礎工事を簡素化できるため、コストメリットが出やすいとされています。 ただし、非常に大規模な建築物になると、鉄骨造の方がスケールメリットを活かせる場合もあります。

近年のウッドショックや鋼材価格の高騰など、資材価格の変動もコストに影響を与えるため、個別の見積もりが不可欠です。 工場倉庫の坪単価については「工場倉庫の坪単価とは?」で詳しく紹介しています。

構造によってどのくらいの広さ(スパン)まで実現可能か

無柱空間で実現可能なスパン(柱間の距離)は、採用する構造によって大きく異なります。一般的な木造在来工法では4.5m程度が目安とされていますが、SE構法・木造ラーメン工法では6m〜8m程度まで可能です。さらに大規模な木造トラス工法やCLT工法では、8m〜10m程度のスパンも実現できます。

一方、鉄骨造では、ラーメン構造で10m〜20m程度、トラス構造を採用すれば30m〜100mを超える大スパンも構築可能です。用途や求める空間の広さに応じて最適な構造を選択します。

用途別に見る無柱空間の活用事例

無柱空間が持つ「広さ」と「自由度の高さ」という特性は、さまざまな建築物で有効に活用されています。 生産施設や商業施設、住宅、公共施設など、その用途は多岐にわたります。 ここでは、具体的な活用事例を4つのカテゴリに分けて紹介し、無柱空間がそれぞれのシーンでどのような価値を生み出しているのかを見ていきます。

工場・倉庫:大型機械の配置やフォークリフトの移動がスムーズに

工場や倉庫では、無柱空間が生産性と安全性の向上に直接貢献します。 柱による制約がないため、大型の製造ラインや自動化設備を自由に配置できます。

また、フォークリフトや作業車両の動線がシンプルになり、効率的で安全な運搬ルートを確保しやすくなります。 将来、生産品目の変更に伴う大規模なレイアウト変更が必要になった際にも、柔軟に対応できる点も大きなメリットです。 高品質の建物を低コスト・短工期で建てられるシステム建築については「高品質の建物を低コスト・短工期で建てられるシステム建築とは?」で詳しく紹介しています。

店舗・商業施設:来客者が回遊しやすい魅力的な売り場づくり

スーパーマーケットやショッピングモールなどの商業施設において、無柱空間は顧客にとって快適で魅力的な買い物環境を提供します。 柱が視界を遮らないため、売り場の全体像を把握しやすく、開放的な空間が生まれます。 顧客は目的の商品を探しやすく、店内を自由に回遊できます。

店舗側にとっても、商品棚の配置や催事スペースの設置など、販売戦略に応じた自由な売り場づくりが可能になります。

住宅:柱のない開放的なリビングやビルトインガレージ

住宅分野でも無柱空間の需要は高まっています。 SE構法などの先進的な木造技術により、リビング・ダイニング・キッチンを一体化した柱のない大空間LDKを実現し、家族がのびのびと過ごせる開放的な住まいが可能です。

また、複数台の車をスムーズに駐車できるビルトインガレージや、間仕切りをなくして広々と使えるフリースペースなど、ライフスタイルに合わせた自由な家づくりを可能にします。 中二階の建築基準法については「中二階の建築基準法とは?」で詳しく紹介しています。

体育館・イベントホール:競技や観覧の妨げにならない大空間

体育館やアリーナ、コンサートホールといった施設では、無柱大空間であることが必須条件となります。 バスケットボールコートやステージなど、競技やパフォーマンスを行うための広いスペースを確保すると同時に、どの観客席からも柱に視界を遮られることなく快適に観覧できる環境を提供する必要があります。

トラス構造などを用いて実現されるこれらの大空間は、スポーツやエンターテインメントの感動を支える重要な役割を担っています。

無柱空間に関するよくある質問

無柱空間の建築を検討する際には、その特性やメリット、実現可能な広さなど、さまざまな疑問が生じます。特に、鉄骨造と木造の比較や、大スパン構造による耐震性の確保は、関心を集める点です。

ここでは、そうした無柱空間に関するよくある質問に対して、簡潔に回答します。

無柱空間を建てる場合、鉄骨と木造ではどちらが安いですか?

建物の規模や仕様によりますが、小〜中規模の建物では木造の方がコストを抑えられる傾向があります。 特に木造トラス工法はコストパフォーマンスに優れます。 一方で、大規模な建築物では鉄骨造の方が効率的になるケースもあります。

資材価格の変動も影響するため、両方の工法で見積もりを取り比較検討することが重要です。

柱がない木造の家でも、地震に対する安全性は確保できますか?

はい、確保できます。 SE構法をはじめとする現代の木造技術は、部材一つひとつの強度や接合部の性能を科学的に検証し、厳密な構造計算に基づいて設計されます。

これにより、柱のない大空間を持つ家でも、建築基準法が定める基準を上回る高い耐震性を実現することが可能です。

木造建築で実現できる無柱空間の広さは最大でどのくらいですか?

採用する工法によって異なりますが、木造トラス工法などを用いれば、最大で20mを超える無柱空間も実現可能です。住宅で用いられるSE構法などでは9m程度が一つの目安となります。技術の進歩により、木造で実現できる空間の自由度は年々高まっています。

まとめ

無柱空間は、内部に柱がないことによって、作業効率の向上、スペースの最大活用、レイアウトの自由度、そして開放的なデザイン性といった多くのメリットを提供します。 この空間を実現するための構造には、大規模建築に適した鉄骨造のラーメン構造やトラス構造、そして近年注目されている木造のトラス工法やSE構法など、多様な選択肢が存在します。

特に木造技術の発展は、コストや環境負荷の面で新たな可能性を広げています。 建物の用途、求める広さ、予算などの条件を総合的に考慮し、最適な工法を選択することが求められます。

SAWAMURAについて

1950年の創業以来、地域に貢献すること、お客様の事業の発展に寄与することを目標に
さまざまな建築物を竣工してきました。1998年よりシステム建築事業をスタート。
豊富な経験と実績をもとに、さまざまなご要望にお応えします。

関西No.1のシステム建築実績。
積み重ねた施工実績とノウハウで、
確かな精度を保証します。

2020年
関西ブロック優秀ビルダー賞1位
2019年
関西ブロック優秀ビルダー賞3位
関西ブロック年間販売実績 第1位 5年連続受注賞
アティブビルダー銀賞受賞
2018年
関西ブロック年間販売実績 第3位 5年連続受注賞
アクティブビルダー銅賞受賞
2017年
アクティブビルダー銅賞受賞
2016年
アクティブビルダー銅賞受賞
2015年
アクティブビルダー 銅賞受賞
2012年
連続販売年数15年達成
2013年
15年連続受注賞
2008年
10年連続受注賞 2005年 5年連続受注賞
2004年
優秀ビルディング

資格所有者

  • 一級建築士 13人
    二級建築士 41人
    一級建築施工管理技士 29人
    一級土木施工管理技士 10人
  • 宅地建物取引士 19人
    設備設計一級建築士 1人
    土地家屋調査士 1人
    一級建設業経理士 2人
    中小企業診断士 1人​

会社概要

社名 株式会社澤村
本社 〒520-1121 滋賀県高島市勝野1108番地3
TEL. 0740-36-0130(代)
FAX. 0740-36-1661
大津オフィス 〒520-0242 滋賀県大津市本堅田三丁目33-16 エルミナ リアン 2F
TEL. 077-572-3879
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敦賀オフィス 〒914-0811 福井県敦賀市中央町一丁目8-10
TEL. 0770-22-6005
FAX. 0770-47-6405
資材センター 滋賀県高島市勝野873-1
創業 昭和25年12月6日
資本金 50,000,000円(グループ全体)
従業員数 182名(グループ全体)※2024年10月1日現在
売上高 63億円(グループ全体)※2024年9月実績
営業種目 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用
許可・登録 〈建設業許可〉 
滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号
〈一級建築士事務所〉 
滋賀県知事登録(カ) 第126号
〈宅地建物取引業者〉 
滋賀県知事登録(12) 第1267号
取引銀行 滋賀銀行 高島支店
関西みらい銀行 安曇川支店
滋賀県信用組合 安曇川支店
関連会社 株式会社トータル・オーガニック・プランニング
沢村ホーム株式会社
関西No.1のシステム建築実績。

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